ニュースの概要

出入国在留管理庁の発表によると、2026年6月末時点の在留外国人数は428万1026人となり、過去最多を更新した。内訳は中長期在留者が401万7321人、特別永住者が26万3705人である。2025年末からの増加は15万5631人、率にして3.8%で、半年間で中規模の都市ひとつ分の人口が増えた計算になる。総人口に占める割合は約3.5%に達した。背景には少子高齢化と人口減少による人手不足があり、企業側は外国人材の受け入れや定着を支える包括的な政策を政府に求めている。一方、政府は外国人政策全体の方向性をどう示すかが問われている。

引用元: 日本の在留外国人数、428万人で過去最多を更新(AFPBB News)

分析・見解

半年で15万人増。働き手中心に変わる在留外国人

半年で3.8%の増加は、単純に1年へ引き延ばせば7%を超える速さである。特別永住者は26万人台で、歴史的な経緯から今後は緩やかに減っていく層だ。つまり増加分のほぼすべてが、仕事や留学、家族の事情で来日した中長期在留者になる。日本の外国人増加は、かつての「定住者が中心」という姿から、「働き手が中心」という姿へ性格を変えている。統計上の人数は同じでも、留学生と技能実習や特定技能の人とでは、暮らし方も企業との関係も大きく違う。

3.5%は低いのか。他国と比べて見える違い

外国生まれの人口比率は、ドイツで2割近く、英国や米国で1割台半ばとされる(いずれも概数)。これらと比べれば、日本の3.5%はまだ低い。ただ、重要なのは水準よりも変化の速度である。ドイツは数十年かけて社会の仕組みを調整してきたが、日本は十数年で同じ課題に向き合うことになる。学校、医療、住宅、自治体の窓口といった生活の基盤が、増加のペースに追いつくかどうかが問われる。外国人住民が増える自治体では、多言語の案内や相談窓口の有無が、住みやすさの評価に直結する。

人手不足の解消は「人数」より「届く先」で決まる

在留外国人は東京、愛知、大阪などの都市圏に集まりやすい。一方で、人手不足が深刻な介護、建設、農業、食品加工などの現場は、地方にも多く散らばっている。人数が増えても、必要な場所に必要な職種で届かなければ、不足は埋まらない。さらに、転職のしやすさや日本語教育の整備が弱いと、人は条件のよい都市部へ動く。同じ時給なら家賃の安い地方が有利に見えるが、通勤の足や子どもの学校に不安があれば選ばれない。地方の企業ほど、賃金以外の魅力を示す必要がある。

日本は「選ぶ側」から「選ばれる側」に回りつつある

ここに、あまり語られない視点がある。海外では、マレーシアのMM2H(=長期滞在ビザ制度)やポルトガル、ドバイのように、国が滞在条件を明確に示して人を呼び込む例が増えた。人は収入だけでなく、更新の見通しや家族を連れて来られるか、手続きが分かりやすいかで国を選ぶ。日本の読者は、自分が移住先を選ぶ立場でこうした条件を比べた経験があるはずだ。今度は日本が同じ物差しで比べられている。制度の変更が頻繁だと、本人も雇う側も先が読めない。円安で賃金の魅力が薄れる局面では、制度の透明さが差になる。過去最多という数字は、日本が選ばれている証拠であると同時に、選ばれ続けるための宿題でもある。

ビジネスへの影響

採用前に確かめたいのは、在留資格ごとの仕事の範囲

在留資格によって、就ける仕事の範囲が決まっている。たとえば留学生のアルバイトには時間の上限があり、就労系の資格でも、資格の種類と実際の業務が合わないと更新が通らない。採用担当者は、内定前に在留カードの資格と期限、業務内容の整合を確認したい。更新時期を一覧表にして管理し、期限の3か月前に本人と面談する運用だけでも、うっかり失効を防げる。特に人手不足の業種では、受け入れ後の配属先や上司への事前説明も欠かせない。

定着にかかる費用は、採用費より大きくなりやすい

紹介料や渡航費は目に見えるが、あとから効いてくるのは住まい、日本語学習、家族の生活支援といった費用だ。賃金が日本人と同水準でなければ、転職で人が流れる。社宅の保証人問題を会社が肩代わりする、業務時間内に日本語教室を認める、昇給の基準を文書で示す。こうした小さな工夫が離職率を下げる。まず自社の離職理由を聞き取り、費用の大きい項目から手を付けるとよい。外国人材が増えるほど、選ばれる職場かどうかは見えやすくなる。

海外移住を考える個人にも役立つ、受け入れ側の見方

日本の状況は、海外へ移る側にとっても参考になる。移住先の制度を見るときは、ビザの取りやすさだけでなく、更新条件、収入要件、家族の帯同、税の扱いまで確認したい。制度が変わりやすい国なら、長期計画には余裕を持たせる。日本で外国人が直面する悩みは、そのまま日本人が海外で直面する悩みでもある。複数の国を比べ、専門家の助言を得ながら判断するのが安全である。

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